当工房のパターマットにスロープはありません。

その頃、一般によく売られているパターマットはカップの手前から急なスロープになっている形状のものがほとんどでした。
そのため、カップまでの距離感よりもかなり強めにパターを打たねばなりません。
ボールはスロープを駆け上がるような転がり方をして、カップインします。
それらのカップ手前のスロープは、何のためにあるのでしょうか。
スロープは、マット面を底上げし、カップ穴に深さを与えるために設けられています。
もう少し分かりやすく言うと、カップインした時の「カランコロン!」という感触を出すために底上げが必要だったのです。

しかし、考えてみてください。
実際のグリーンには、急なスロープは存在しません。
練習マットに急なスロープがあると、目測の距離感とは異なる強いタッチで打球する必要があり、パッティングで最も大事な「距離感」が習得できないのです。 したがって、私は、パター練習マットは、床面にフラットなマットが最も有効であると思いました。



大きなグリーンでのびのびと練習したい。


自宅に広いスペースがあれば、マットはできるだけ広く長くするべきだと思います。
様々な距離のパットを練習することができます。
それは同時に、私が重視する「飽きずに継続できる、面白い練習」につながります。
また、お家によって活用可能なスペースは異なるのだから、広いタイプ(例えば180cmx10m)から、ミニサイズ(例えば15cmx3m)まで、いろいろなサイズを提供したいと考えました。

現在、室内用パターマットの材質として、速さの異なる4種類の素材を使用しています。

1. SUPERBENT:一般的なベントグリーン。
2. TOURNAMENT-SB:高速ベントグリーン。(新タイプ)
3. BENT-TOUCH:高速ベントグリーン。(旧タイプ)
4. EXPERT:超高速ベントグリーン、緩い下りのグリーン。


共通して重視したのは以下のようなポイントです。

1. 床になじむ:折り癖や巻き癖がつきにくく、床面に密着してずれない。
2. 均質で直進性が良い:繊維の均質製、きめの細かさ。
3. 生地の風合や外見:室内に置いて毎日使う質感の良い素材。





メ イドインジャパンの技術力。スーパーベントの開発。

一見グリーンの芝のように見えるマットでも、底面に折り癖がついて波打つものや、実際のグリーンには無い芝の抵抗の強いものが多く見られます。
そのようなマットでは、快適な練習が難しいのです。
パターマットの生地素材には、直進性と平坦性が重要です。

以上のような条件を満たす材料を探すと、やはり日本製の生地に行き着きます。
生地の良し悪し、使い心地といった感覚的なことを繊維の機能として実現するためには、日本の技術力が必要なのです。

そこで日本の工場からの直接調達を原則とし、さらには工房オリジナルの生地SUPER-BENT、TOURNAMENT-SBの開発へと進みました。
試作と試打を繰り返し、「転がり感」という感覚的な尺度で調整を重ねて、完成した「ベントの本芝再現」パターマット。
このSUPERBENTをはじめ、TOURNAMENT-SB、BENT-TOUCH、EXPERTなど室内用のパターマットは日本製素材100%。
設置すると床面にビシッと張り付く感じ。打球したボールは、滑らかに直進します。

品質を下げず、国内製造でなおかつコストを下げるのは簡単ではありませんが、自社工房で製作仕上げし、ネットを通じてお客様に直接販売することで、できるだけ安価に提供して行くように努力しています。




私たちパターマット工房が「ベント芝再現」をテーマとした全く新しいパターマットを構想したのは2010年。
精密な直進性がありながらもベント芝の柔らかなタッチを持つ理想のパターマットを目標としました。
試行錯誤の中、寝具業界の名門、西川グループの西川ローズさんと共同開発できる幸縁に恵まれました。
同社の事業分野は高機能繊維構造体。自動車製造に欠かせない内装材や、電車のシート、高速道路の吸音繊維、医療具、寝装品など高品質な製品を開発・生産する技術系企業です。
その力を得て、私達のパターマット開発は成功裡に進み、2012年夏、日本で初めて「ベント芝再現」を冠したSUPER-BENTを発売することができました。
日本が誇る製造技術で日本のゴルファーを満足させ、喜ばせたい。
私たちは、そんな夢や志を乗せて日々パターマットを作り続けています。





「自宅は最高の練習場」

理論や技術はもちろんですが、何より感覚に頼る部分が大きいのが、パッティングです。
ボールを手で投げれば、何回投げてもほぼ同じ方向、同じ距離に投げられるはず。自分の手と同じようにパターを使いこなすには、やはり反復練習が基本です。
毎日繰り替えしても飽きが来ず、パター練習そのものにインドアスポーツの楽しさを感じること。
自宅のパターマットを「お気に入りの場所」にして、毎日気が向けばパターを握っている。
実はそういう単純なことが、パター上達には重要な要素だと思っています。

だからこそ、パターマット工房PRO-GOLFSHOPはモノ作りにこだわります。
パターマットの素材も、僅かなタッチの違いを反映する均質で上質な材料にこだわります。
目的は一つ、そこを「自宅にある最高の練習場」にしたいと考えているのです。



パター練習の本質とは

段差の無い、フラットなマットでのパター練習が理想。
そのためには、カップの形状が重要となります。
カップの形状を考えて行くと、カップ穴周辺にスロープと段差があり「カラン!」とカップインする形がイメージされます。
しかしその形状では、やはり段差を乗り越えるための強いタッチ、強めの距離感を必要とします。
もっとシンプルに行きましょう。

例えば、ゴルフコースのパター練習場で、ふと目にした落ち葉に向けてパターを打ったことがありませんか。
良いタッチの打球とは、落ち葉の上でピタリと止まるのではなく、落ち葉を通り過ぎ、少し先で止まるボールです。
ここに、「パター練習の本質」があります。




30cmオーバーで打つ

落ち葉練習では、カップインでは分からない情報が分かります。
そのパッティングが、カップをどれぐらい行き過ぎるタッチだったのかという強弱の情報です。
同じカップインでも「弱いカップイン」「ちょうど良いカップイン」「強すぎるカップイン」があることは、誰しも経験していますが、落ち葉練習では、それを 打感だけでなく、目視、確認することができるわけです。

これを、昔からセオリーとして言われる「カップを30cmオーバーするタッチ」という考え方でまとめたいと思いました。
落ち葉練習的なやり方を自宅で実行するなら、例えばカップの大きさの丸い紙を置き、その向こう側30cmのところに何か目印をつける(例えばシールを貼っ ておく)ことで良いはずです。

私は、そのやり方を実行してみました。
1球、2球、3球、、、
近距離なら、次第にタッチが合い、うまく30cmオーバーが打てるようになります。
しかし、大きな問題があります。

この練習方法は、面白く無い。すぐに飽きが来るのです。
あの市販のパターマットの「カランコロン!」というカップインの感覚。その達成感が、練習に面白さを出していたのです。
考え方は「落ち葉を行き過ぎる距離感の把握」、しかし感性は「カップインの達成感」。そういう練習用具を作りたいと考えました。




距離感マスターカップの完成

いくつかの形を製作した結果、辿り着いたのが今の形です。
実際のカップと同じ直径10.8cmの円形の「第1カップ」と、その奥にある「第2カップ」。
第1カップを通って第2カップに入るタッチ(30cmオーバー)を習得することが目的です。
「第1カップ」「第2カップ」の入り口の段差を超える時、視覚、聴覚、そしてわずかな振動が、貴方に伝わります。
そして「第2カップ」の中で静かに止まる。または「第2カップ」奥端の段差で止まる。
「カランコロン!」という派手さはありませんが、確かにカップインを感じる瞬間です。

「第2カップ」は横幅10.8cm、奥行28cm。
これはゴルフボール10個をゆったり収容できる大きさです。
マットの両側に距離感マスターカップを置いて、10球ごとに貴方自身が数メートルを移動することで、パット練習はエンドレスになります。
100球練習・・・ぜひ挑戦してみてください。

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あなたが現在使っているパターマットは、折り目がついて波打っていませんか?
その原因は、倉庫や店頭で箱に入って長期保管されていたことにあります。
私たちはパターマット専門工房として、この問題を全力で解消してきました。
その秘訣は「ゆるゆる無包装縦置き」。私たちの取り組みの一例として、マットの保管方法を紹介します。

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専用車でゆるゆる縦置き運搬

SUPER-BENTの原反は、当工房の品質規格により、国内の契約工場で高度な品質管理の元生産されます。
そして専用のチャーター便を使い、毎週1回のペースで工房へ搬入されます。
トラックの内部を見てください。生産直後の状態そのままに、原反をゆるく巻いただけで運搬します。
また、原反はすべて縦置きにします。横に寝かせると巻きが扁平になり、いわゆる巻きグセ、波打ちが発生するのです。
専用車を使わなければ、荷崩れを防ぐためにきつく巻いたり、他の荷物と接触し、マットは圧迫されてしまいます。

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倉庫は土足厳禁、住環境並みの環境

到着した原反は、いったん工房に併設された倉庫に入ります。こちらでも、縦置きとし、圧迫しないように注意深く保管されます。
一般に倉庫の床はコンクリートで舗装されていることが多いと思いますが、工房の倉庫はフローリングおよびフロアシートで床張りされており、ほぼ住環境と同 等に清潔に保たれています。気密性が高く夏場の湿気や高温も遮断して製品を守っています。


出荷前製品を、無包装縦置き保管

裁断作業が終わった製品は、無包装で縦置きで保管します。出荷直前まで、付属品もセットされず無包装、無圧迫が保たれます。
パターマット専門工房だからできる「無包装縦置き」ベント芝を再現した繊維は、呼吸をしながら出荷の時を待ちます。
もし箱に詰められて長期間保管されると、巻きグセがついて波打ったマットになってしまいます。

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縦置きを前提とした梱包

ご注文に応じた付属品をセットして、梱包します。梱包も縦置きとし、この状態で運送会社さんに引き渡されます。
輸送中は転倒防止のため寝かせる場合がありますが、出荷までの過程を「縦置き、無圧迫」に徹底することによって、圧迫のリスクを低減させています。

以上のような対策で、より良い状態のパターマットをお届けするように務めております。
私たちは小規模な製作工房ですが、大きな会社にはできない一手間、二手間、、、で品質を高めていきます。

(お手元に届いた後も、無圧迫縦置きで保管してください。さらに良いのは、敷きっぱなしで使い込んでいただくことです。詳しくは製品に同梱の説明書をご覧 ください)


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パターマットから始まった私たちの活動は、パット練習器「まっすぐぱっと」を皮切りに、ショット用のマットやスイング練習器具などさまざまな練習用具の開 発へと広がっています。それぞれの使用目的や形は違っても、私たちの取り組みには一貫したものがあります。

1. 自分たちなら、どういう道具がほしいのか。本当に効果 的でゴルフが面白くなるか。

2. 試作段階で、多くのゴルファーと、自分たち自身が使い込んで作り 上げる。

3. 全国のゴルファーの皆さんに熱く伝える!直接ご感想をいただき次 へのエネルギーにする!


少し前の時代なら、私たちのような地方の小規模な作り手が、お客様にメッセージを伝え、製品を直接お渡しすることなど難しかったでしょう。このインターネットの時代、日本中の様々な場所から、私たちを見つけてくれたお客様に、心からの感謝の気持ちを伝えたいと思います。



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私たちは、自社製品に関する商標、意匠など諸々の権利を特許庁に登録しています。
何よりも、発足以来、11万人のゴルファーの皆様に日々ご愛用いただき、その交流の中から製品が生まれ、地方の小さな工房の製品が、時間をかけて一つのブ ランドになりました。
製品には、お客様と私たちの歩みが刻まれています。
現在、製品の形だけを模倣し、WEBページの説明文や商品説明書を剽窃などの現象が多数起きています。
私たちは、大切なお客様に、模倣品に関する注意喚起をいたします。


パターマット工房PROゴルフショップ
株式会社ニュートンズ
代表 井上浩一
製品に関してお気軽にお問い合わせください。


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